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tips| ✍️ リーフブック編集部

破損したサンゴの応急処置|骨格の折れ・欠けと組織の保護

サンゴの骨格が折れたり欠けたりしたときの応急処置と、その後の観察・フラグ化・記録の考え方を整理します。サンゴを水槽に移す途中で枝が折れた、メンテナンス中にレイアウトを動かして欠けた、落下で骨格にひびが入った。サンゴを扱っていると、破損は誰にでも起こりえます。

サンドペーパーコーラル(プサモコラ)
サンドペーパーコーラル(プサモコラ)

この記事のポイント

サンゴの骨格が折れたり欠けたりしたときの応急処置と、その後の観察・フラグ化・記録の考え方を整理します。サンゴを水槽に移す途中で枝が折れた、メンテナンス中にレイアウトを動かして欠けた、落下で骨格にひびが入った。サンゴを扱っていると、破損は誰にでも起こりえます。

サンゴを水槽に移す途中で枝が折れた、メンテナンス中にレイアウトを動かして欠けた、落下で骨格にひびが入った。サンゴを扱っていると、破損は誰にでも起こりえます。サンゴは群体としての性質を持ち、折れた断片から回復することも珍しくありませんが、対応を誤ると組織が壊れて広がることもあります。この記事では、破損が起きたときの応急処置の考え方と、その後の経過の見方を整理します。

破損が起きたときに何が傷ついているのか

サンゴの体は、石灰質の骨格を、その表面を覆う薄い軟組織(ポリプや共肉)が包む構造です。骨格が折れたり欠けたりすると、断面では骨格がむき出しになり、周囲の組織も裂けたりつぶれたりします。傷口は、細菌や藻類が付着しやすい弱点にもなります。

破損の種類によって、見るべき点が変わります。

  • 枝の先端が折れた場合。枝状のミドリイシ類やハナヤサイサンゴ類では、折れた先端は新しい個体(フラグ)として使えることがあります
  • 骨格の一部が欠けた場合。親個体の傷口の保護が中心になります
  • 組織だけが剥がれた場合。骨格が無傷でも、組織が失われた部分は藻類に覆われやすくなります
  • 大型LPSの骨格が割れた場合。内部の組織が裂けていると、傷の範囲が見た目より広いことがあります

サンゴの種類によって、傷への強さは大きく違います。成長が速い枝状のSPSは再生力が高いとされる一方、組織の薄い種や、ポリプが大きく柔らかいLPSは、傷から崩れやすい傾向があります。種ごとの特徴は図鑑で調べられます。

まず落ち着いて行う応急処置

破損に気づいたら、慌てて触りすぎないことが大切です。次の順で進めると、組織への追加のダメージを抑えられます。

  1. 水中から出さない。折れた断片を空気にさらす時間は、できるだけ短くします
  2. 破片が水槽のどこにあるかを確認し、水流で転がって他のサンゴに触れていれば、組織を傷つけない向きで静かに拾い上げる
  3. 断面や組織に素手で強く触れない。手袋を着け、ピンセットやトングを使い、組織のある部分はなるべくつかまない
  4. 断片を、水流が穏やかで、親個体や他のサンゴの刺胞に触れない場所に仮置きする
  5. 傷口に付着物があれば、きれいな海水で軽く流す。ブラシでこすると組織を傷つけるので、無理に取らない

サンゴには刺胞を持つ種があり、また、種によっては体に毒性成分を含むものもあります。素手での取り扱いや、傷口からの体液が目や傷口に入るリスクについては、サンゴの毒と安全な取り扱いを参考にしてください。

親個体と断片の、その後の扱い方

応急処置の次は、親個体と断片を分けて考えます。

親個体は、傷口を水流の弱すぎない位置に置き、組織の回復を待ちます。傷口の周りに白い骨格が見える場合、そこに藻類が付着して広がる前に、組織が縁から骨格を覆っていくのが一般的な回復の形です。回復の過程で、組織が後退していく、茶色や白の粘液が出る、などの変化があれば、組織の壊死や感染が疑われます。詳しくはSPSのRTN・STNやサンゴの感染症とブラウンジェリー病の記事が参考になります。

折れた断片は、使える場合は新しい個体として扱えます。枝状サンゴの先端であれば、骨格の断面を土台に固定する方法がよく用いられます。接着と固定の具体的な手順はSPSサンゴのフラグ作成と接着・マウント方法で扱っています。大型のLPSを人為的にカットする場合の考え方はLPSサンゴのフラグ化を参考にしてください。

破損の程度が大きい場合や、組織が広い範囲で剥がれている場合は、無理に処置せず、水槽を見てもらえるアクアリウム専門店や、海水魚・サンゴを診られる専門家に相談することも選択肢です。回復を確約できるものではないため、経過を観察しながら判断してください。

破損後の水槽環境で気をつけること

傷ついたサンゴは、普段より環境の変化に弱くなります。破損直後は、次の点に気をつけます。

  • 水温、塩分、KH、栄養塩の急な変動を避ける。大がかりな水換えや添加の変更は、状態が落ち着いてからにする
  • 強い光や強すぎる水流を避ける。傷口に負担がかかりやすくなります
  • 過度な給餌を控える。傷口の周りで残った餌が腐敗すると、組織の崩壊を後押しします
  • 他の個体とのスペースを確保し、触手や刺胞の接触を避ける

また、破損した組織や、組織が崩れて死んだ断片が水槽内に残ると、水質悪化の原因になります。死んだ組織の取り出し方は死んだサンゴの取り出し方と水質悪化を防ぐ手順にまとめています。

破損の原因を振り返ることも重要です。水流で転がった、レイアウトの岩が崩れた、導入時のハンドリング、強すぎる水流でサンゴ同士がぶつかる、などは再発しやすい要因です。サンゴの配置や接着、水流の調整を見直し、同じ事故を避けましょう。

破損と回復を記録に残す

破損した日付、場所、断片の扱い、その後の組織の様子を記録に残しておくと、回復までの流れが見えるようになります。断片を新しい個体として育てる場合は、親個体との関係(来歴)を記録しておくと、後から系統を追えます。ReefBookの個体記録では、飼育中のサンゴの来歴を残すことができます。種ごとの特徴を調べる際は、図鑑も合わせて活用してください。ユーフィリア類(Euphyllia)のような大型のLPSを扱うときは、傷の経過を撮影して残しておくと、判断の助けになります。

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リーフブック編集部

サンゴの飼育情報を専門に扱うリーフブック編集部。飼育・水質・機材の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。

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