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tips| ✍️ リーフブック編集部

サンゴの感染症・ブラウンジェリー病など軟部組織のトラブルと対処

LPSサンゴなど軟部組織の多いサンゴに見られるブラウンジェリー病をはじめとした感染性トラブルの特徴と、早期発見・拡大防止の考え方をまとめる。ブラウンジェリー病とは何か ブラウンジェリー病は、サンゴの組織が茶色いゼリー状に溶けていく症状を指し、とくにハンマーコーラルやトーチコーラル…

バブルコーラル
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この記事のポイント

LPSサンゴなど軟部組織の多いサンゴに見られるブラウンジェリー病をはじめとした感染性トラブルの特徴と、早期発見・拡大防止の考え方をまとめる。ブラウンジェリー病とは何か ブラウンジェリー病は、サンゴの組織が茶色いゼリー状に溶けていく症状を指し、とくにハンマーコーラルやトーチコーラル…

ブラウンジェリー病とは何か

ブラウンジェリー病は、サンゴの組織が茶色いゼリー状に溶けていく症状を指し、とくにハンマーコーラルトーチコーラル、フロッグスポーンなどユーフィリア系に代表される、肉厚な軟部組織を持つLPSサンゴで報告されることが多いです。何らかの理由で傷ついたり弱ったりした組織に、細菌や原生生物が日和見的に入り込んで増殖することで発症すると考えられており、健康な組織にはあまり見られない一方、いったん発症すると数時間から一日程度という速さで周囲の組織にまで広がることがあります。SPSサンゴの骨格組織が壊死していくRTN・STN(SPSサンゴのRTN・STN(組織壊死)の原因と対処参照)とは見た目も進行の仕組みも異なる、軟部組織特有のトラブルとして区別しておきたい。名前の似た症状はハンマーコーラルやトーチコーラルに限らず、肉厚な軟部組織を持つ他のLPSサンゴや、一部のソフトコーラルでも同様のメカニズムで組織が溶けることが報告されており、「ユーフィリア特有の病気」と狭くとらえすぎない方がよいでしょう。

発症のきっかけになりやすい要因

輸送やフラグ作成時の物理的な傷、急激な水質・水温の変化によるストレス、長期間の水質悪化による組織の衰弱などが、ブラウンジェリー病発症のきっかけになりやすいとされています。また、ウミウシやプラナリアなど害虫による食害で組織に傷ができ、そこから感染が広がるケースも報告されています(害虫についてはサンゴの害虫対策を参照)。導入直後で環境に馴染んでいない個体や、輸送で長時間ストレスを受けた個体は、とくに注意して観察したい時期になります。

早期発見のポイント

組織の一部が茶色く濁ったゼリー状に見える、独特なぬめりや膜が張っている、組織が急速に後退していくといった変化が見られたら、ブラウンジェリー病を疑うサインになります。白化(組織自体は残るが色が抜けていく、サンゴの白化の原因と回復参照)とは異なり、組織そのものが失われていく進行の速さが特徴的です。日々の観察で普段の状態を把握しておくと、こうした変化に早く気づきやすくなります。

感染拡大を防ぐための初期対応の考え方

発症が疑われる個体を見つけたら、まずは他のサンゴから物理的に離す、あるいは可能であれば隔離用の容器に移すといった対応が広く行われています。ゼリー状の組織や、そこに触れた水が他の健康な個体に接触すると感染が広がる懸念があるためです。飼育者によっては、清潔な道具を使って明らかに侵された部分だけを切り離し、健康な組織を残す対応を取ることもありますが、これは症状の程度や種類によって適否が分かれる判断であり、一律に推奨できるものではありません。判断に迷う場合や症状が広範囲に及んでいる場合は、無理に自己判断で処置を進めず、アクアリウム専門店や経験豊富な飼育者に早めに相談することを検討したいところです。

予防のためにできること

新しく迎える個体は導入前に他のサンゴから離して一定期間観察する検疫の習慣が、感染性トラブルの持ち込みを防ぐ基本になります。検疫用の容器は本水槽とは独立した水・器具を使い、観察期間中に組織の様子や食害の跡がないかを確認してから本水槽へ移すとよいでしょう。フラグ作成や移動の際はできるだけ組織を傷つけないよう丁寧に扱い、水質・水温を安定させて生体への慢性的なストレスを減らすことも予防につながります。サンゴ同士の間隔についてもLPSサンゴの配置・共存を参考に、接触や食害による傷を避ける配置を心がけたいところです。ウミウシやプラナリアなどによる食害の傷跡と、発症初期のブラウンジェリー病はやや見た目が似ることがあるため、普段から害虫の有無を合わせて確認しておくと原因の切り分けがしやすくなります。

治療を過信しすぎないために

ブラウンジェリー病をはじめとする感染性のトラブルは、早期に気づいて対応すれば被害を最小限に抑えられる可能性が高まる一方、必ず完治する、必ず拡大を防げるといった保証があるものではありません。進行の速さや個体の状態によっては、対応が間に合わず組織の大部分を失ってしまうこともあります。過度に悲観する必要はありませんが、「絶対に助かる方法」を探すより、日々の観察習慣と早めの相談を基本方針としておく方が現実的です。アクアリウム専門店や、海水生体を診られる獣医など専門家に相談する姿勢を持っておきたいものです。

✍️

リーフブック編集部

サンゴの飼育情報を専門に扱うリーフブック編集部。飼育・水質・機材の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。

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