水槽に細かい泡(マイクロバブル)が舞う原因と対策|スキマー・落水・リターンポンプ・配管のエア噛み
海水水槽に細かい泡が舞うときの出どころを、プロテインスキマー・オーバーフローの落水・リターンポンプの吸い込み・配管のエア噛みの4つに分けて整理し、メーカーの取扱説明書と獣医学の資料で確かめられる範囲の対策と、魚のガス病との関係をまとめます。

この記事のポイント
海水水槽に細かい泡が舞うときの出どころを、プロテインスキマー・オーバーフローの落水・リターンポンプの吸い込み・配管のエア噛みの4つに分けて整理し、メーカーの取扱説明書と獣医学の資料で確かめられる範囲の対策と、魚のガス病との関係をまとめます。
サンゴ水槽で、リターンの吐出口から白い霧のような細かい泡(マイクロバブル)が出続け、水槽の中を舞うことがあります。泡の出どころはいくつかあり、対策もそれぞれ違います。ここでは、メーカーの取扱説明書や獣医学の資料で確かめられる範囲で、原因と対策を整理します。
泡の出どころは大きく4つ
サンプ(ろ過槽)を使うオーバーフロー水槽では、流れのどこで空気が混ざっても、最後はリターンの吐出口から水槽へ運ばれてきます。疑う場所は次の4つです。
- プロテインスキマー:泡で汚れを集める機材なので、一部の泡がスキマーの外へ漏れます
- オーバーフローの落水:サンプへ落ちる水が水面をたたき、空気を巻き込みます
- リターンポンプの吸い込み:ポンプ室の水位が下がると、水面の空気を吸い込みやすくなります
- 配管のエア噛み:配管に残った空気や、継ぎ目から入り込んだ空気が泡になって出てきます
スキマーを止めると減るならスキマー、水位が低いときだけ出るなら吸い込み、ポンプを再始動したあとだけならエア噛み、と見当をつけてから手を動かすと、むだな調整を減らせます。
プロテインスキマーから漏れる泡
Red Sea の REEFER スキマーの取扱説明書は、「水槽が細かい泡や霧のような気泡でいっぱいになる」という質問に対し、どのスキマーもサンプにいくらかの気泡を放出するので、スキマー室とリターンポンプのあいだに気泡止め(バブルトラップ)を置くのが望ましいと答え、新品なら落ち着くまで数日待つよう案内しています。同じ説明書は、水道水用の中和剤や天然海水に含まれる成分が水の表面張力を高め、気泡の一部がスキマー室の外へ逃げる原因になるとも説明しています(Red Sea REEFER スキマー取扱説明書)。
立ち上げ直後の泡は時間とともに収まることがあるので、ほかの機材をいじる前に、まずスキマーを疑って様子を見ます。泡立ちの調整そのものはプロテインスキマーの役割と選び方・調整で扱っています。
オーバーフローの落水とサンプの気泡止め
REEFER の取扱説明書では、落水管の流量バルブでオーバーフローボックスの水位を適切に保つと、サンプへ落ちる水の音を消せると説明しています。音がするときはバルブを調整し直す合図で、調整後に水位が落ち着くまで数分かかるため、ごく小さく動かしては待つのがよいとされています。同じ説明書によると、REEFER のサンプでは粗いスポンジを入れた迷路状の気泡止め(日本語版の表記は「気泡止めスポンジ」)がリアクター室とポンプ室を仕切り、スキマーの泡がメイン水槽へ戻るのを防いでいます。自動給水のフロートは、水位がポンプの吸込口より上で、気泡止めの上端より下のところで閉じるよう合わせるとされ、ポンプ室の水位を一定に保つことは、吸込口にかかる水圧を一定にして循環を安定させる前提だと書かれています(Red Sea REEFER G2 シリーズ取扱説明書)。
気泡止めの無いサンプでは、スキマー室とポンプ室のあいだに仕切りやスポンジを設け、泡が浮いて抜ける距離をとる考え方があります。スポンジは汚れがたまる部品なので、定期的に状態を確かめてください。サンプの水位の考え方はオーバーフロー水槽の溢れ・逆流対策も参考になります。
リターンポンプの吸い込みと配管のエア噛み
蒸発でポンプ室の水位が下がり、吸込口が水面に近づくと、空気を吸い込みやすくなります。Red Sea の DC ポンプ ReefRun の製品頁でも、吸込口のガイドが水面からの空気の吸い込みを防ぐと説明されています(Red Sea ReefRun 製品頁)。水位が下がったときだけ泡が出るなら、海水水槽の蒸発対策とATOを参考に自動給水を見直します。サンプの中を流れる水が速すぎると、泡が抜けきらないままリターンへ吸い込まれることもあるので、流量はリターンポンプの選び方で見積もり直してください。
停電や掃除のあとにポンプを再始動すると、配管に残った空気がしばらく泡になって出てくることがあり、抜けきれば収まります。いつまでも続く場合は、ポンプをサンプの外に置く構成などで、ポンプより手前(吸込側)の継ぎ目やバルブから空気が入っていないかを点検します。
魚への影響と、ガス病との関係
Merck Veterinary Manual は、ガス病(gas bubble disease)を水に溶けたガスの過飽和で起こるものとし、公立水族館でよくある原因として、キャビテーションを起こすポンプや、吸込側の配管の漏れから入ったガスがポンプで押し込まれることを挙げています。症状は眼球の突出やヒレ・角膜の微小な気泡などで、確定はとても難しく、ガラスの内側に見える小さな泡は水中のガスが多いことを示唆する場合があるとしています(Merck Veterinary Manual:水生動物の環境性疾病)。フロリダ大学の循環式養殖の手引きも、各ポンプの吸込側の漏れから入る過飽和を監視し、壁面や水中の多数の気泡を兆候のひとつとして見るよう勧めています(UF/IFAS:循環式養殖の魚の健康管理)。
どちらも水族館や養殖の設備を前提にした資料で、目に見える泡がすべて過飽和を意味するわけではありません。魚の目が飛び出す、ヒレに小さな気泡が見えるといった様子があれば、自己判断で薬を使わず、海水魚を診られる獣医師やアクアリウム専門店などの専門家に相談してください。
原因を切り分ける順番
- 泡がリターンの吐出口から出ているかを確かめる
- スキマーを一時的に止めて、泡が減るかを見る
- ポンプ室の水位と自動給水の動きを確かめる
- 落水の音を目安に、流量バルブを少しずつ調整する
- 気泡止めのスポンジやフィルターバッグの詰まりを見る
- 吸込側の継ぎ目やバルブから空気が入っていないかを点検する
- 魚に異変があれば、早めに専門家へ相談する
原因はひとつとは限らないので、条件をひとつずつ変えて様子を見ると、泡の出どころが見えてきます。


