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海水水槽| ✍️ リーフブック編集部

海水水槽の窒素循環と有用バクテリア|微生物生態入門

アンモニアから亜硝酸、硝酸塩へと至る硝化のしくみと、脱窒によって窒素を取り除く微生物の働きなど、海水水槽の水質を支える窒素循環の基礎を整理する。海水水槽の水質管理というと、KHやカルシウムの数値ばかりに目が向きがちですが、その土台となっているのは目に見えない微生物たちの働きです。

コルトコーラル(クリクサム)
コルトコーラル(クリクサム)

この記事のポイント

アンモニアから亜硝酸、硝酸塩へと至る硝化のしくみと、脱窒によって窒素を取り除く微生物の働きなど、海水水槽の水質を支える窒素循環の基礎を整理する。海水水槽の水質管理というと、KHやカルシウムの数値ばかりに目が向きがちですが、その土台となっているのは目に見えない微生物たちの働きです。

海水水槽の水質管理というと、KHやカルシウムの数値ばかりに目が向きがちですが、その土台となっているのは目に見えない微生物たちの働きです。ここでは窒素循環の仕組みと、それを支えるバクテリアの役割について、基礎から整理します。

窒素循環とは何か

魚の排泄物や食べ残しの餌、サンゴの粘液などの有機物は、分解の過程でまずアンモニア(アンモニウム)を生じます。アンモニアは魚にとって強い毒性を持つため、これをいかに素早く無毒化するかが立ち上げ初期の水槽にとって最大の課題になります。

この無毒化を担うのが、水槽内に自然発生し定着する硝化細菌です。窒素循環は大きく次の3段階で進みます。

  1. 有機物の分解によってアンモニアが発生する
  2. アンモニア酸化細菌がアンモニアを亜硝酸に酸化する
  3. 亜硝酸酸化細菌が亜硝酸を硝酸塩に酸化する

亜硝酸もアンモニアほどではないものの生体に有害とされ、最終的に生成される硝酸塩は比較的毒性が低いものの、蓄積するとコケの発生やサンゴの色揚げ不良などの原因になり得ます。立ち上げ期にアンモニア・亜硝酸・硝酸塩を測定するのは、まさにこの一連の反応がどこまで進んだかを確認するためです。

硝化細菌はどこに住んでいるのか

硝化細菌は水中を漂っているだけでなく、ライブロックや底砂、フィルターのろ材など、表面積の大きい場所に定着膜(バイオフィルム)を作って生息しています。水槽立ち上げ時にライブロックやシード材(既存水槽の底砂・ろ材の一部)を使うと早く安定するといわれるのは、これらの細菌がすでに定着した状態のものを持ち込めるためです。

硝化細菌は酸素を必要とする好気性の性質を持つため、水流が届き酸素供給が保たれる範囲でよく働きます。逆に言えば、水流が滞ってヘドロ化した場所では硝化がうまく進まず、有機物の腐敗によって別の問題を招くことがあります。

硝酸塩をさらに先へ進める脱窒のしくみ

硝化によって生成された硝酸塩は、そのままでは分解が止まってしまいます。ここからさらに窒素をガスとして系外に出す働きをするのが、酸素の少ない環境を好む脱窒性細菌です。底砂の深い層やライブロックの内部など、酸素がほとんど届かない嫌気的な領域で、これらの細菌が硝酸塩を窒素ガスへと還元し、水中から取り除いていきます。

厚みのある底砂やライブロックを使う水槽で、水換えの頻度がそれほど高くなくても硝酸塩が極端に蓄積しにくいケースがあるのは、この脱窒の働きが一定程度機能しているためと考えられています。ただし脱窒だけに頼ると管理が読みにくくなるため、多くの水槽ではプロテインスキマーによる有機物の早期除去や、リフジウムでのマクロアルジェによる栄養塩吸収など、複数の手段を組み合わせて硝酸塩・リン酸塩の管理を行っています。

微生物のバランスを崩さないために

窒素循環を担う微生物群は、急激な環境変化に弱いという弱点があります。水換えの量を一度に増やしすぎる、ろ材やライブロックを大量に同時に洗浄・入れ替える、薬剤を大量に投与するといった行為は、定着していた細菌群を一気に減らし、かえってアンモニアや亜硝酸の再発生(いわゆる水槽の再立ち上がり状態)を招くことがあります。

日常的なメンテナンスでは、ろ材やスキマーカップの掃除、水換えなどを少しずつ・こまめに行い、微生物群にとって急激な変化を避けることが結果的に水質の安定につながります。立ち上げ期の考え方やその他の栄養塩管理の手法については、関連記事も参考にしてください。新しい水槽を立ち上げる際に「時間がかかる」と言われるのも、この硝化細菌・脱窒細菌の定着そのものに一定の日数を要するためであり、試薬の数値だけを追うのではなく、目に見えない生態系が育っている過程だと捉えると、焦らずに向き合いやすくなります。

窒素循環は目に見えないぶん軽視されがちですが、実際にはサンゴ水槽の水質を支える最も基本的な土台です。数値としてのKHやカルシウムだけでなく、その裏側で働く微生物のしくみを理解しておくと、トラブル発生時の原因の切り分けもしやすくなります。

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リーフブック編集部

サンゴの飼育情報を専門に扱うリーフブック編集部。飼育・水質・機材の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。

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